
仕事をしていると、「これもお願い」「この件も頼む」と次々に仕事を任されることがあります。
最初のうちは、「自分は頼られているのかな」と思うかもしれません。
私も以前はそう思っていました。
しかし、気がつくと、本来の担当業務だけでなく、他部署の仕事やクレーム対応など、さまざまな仕事が自分のところに集まるようになっていました。
そこで初めて、「頼られている」のと「仕事を丸投げされている」のは違うのではないかと考えるようになりました。
気がつけば「便利屋」のようになっていた

以前の職場で管理職をしていたときのことです。
前任者が部下に任せていた仕事でも、私が同じように部下へ任せると、周囲から良く思われないことがありました。
その結果、自分で抱える仕事が少しずつ増えていきました。
さらに、本来の担当部署とは違う仕事を頼まれることもありました。
一つひとつは対応できる仕事です。
しかし、それが積み重なると、本来やるべき仕事に使える時間が減っていきます。
当時は「必要とされているから仕方がない」と考えていましたが、振り返ると、便利屋のような立場になっていた部分もあったと思います。
クレーム対応まで一人に集中した
特に負担が大きかったのがクレーム対応です。
クレームを発生させた本人ではなく、私が対応することが多くなっていました。
経験がない、高齢だから対応が難しいなど、理由はいろいろありました。
もちろん、会社として誰かが対応しなければなりません。
私自身も品質管理や顧客対応の経験があったので、ある程度対応できました。
そのため、最初は「頼られている」と考えていました。
しかし、ほとんどの案件が自分のところへ回ってくるようになると、少し意味が違ってきます。
「この人なら対応できる」と「この人に任せておけばいい」は同じではありません。
担当できる人に仕事を任せること自体は悪くありません。
問題なのは、その人に仕事が集中していることを誰も管理しなくなることです。
他部署を助けた結果、自分だけ残業することもあった
さらに納得しにくかったのが、部署間の仕事の優先順位でした。
自分の担当部署と他部署の両方に急ぎの仕事がある場合でも、他部署の仕事を優先するよう求められることがありました。
私は他部署で必要になる一部の部品も製作していました。
その仕事を先に終わらせると、当然、自分の担当業務が後ろにずれます。
結果として、自分は残業して担当部署の仕事を終わらせる。
一方で、仕事を優先してもらった部署の人たちは定時で帰る。
こうなると、「会社全体で助け合っている」というより、特定の人が負担を吸収している状態です。
一時的な応援なら問題ありません。
しかし、それが常態化すると話は別です。
「頼る」と「丸投げ」の違いは何か

では、「頼られている状態」と「丸投げされている状態」は何が違うのでしょうか。
私自身の経験から考えると、大きな違いは仕事を任せた後も、周囲が負担を把握しているかどうかだと思います。
頼られている状態なら、
- なぜその人に任せるのか理由がある
- 他の仕事との優先順位が調整される
- 必要なら周囲が手伝う
- 負担が大きくなれば分担を見直す
といった配慮があります。
一方、丸投げになると、
- 「できるから」という理由だけで仕事が集まる
- 元々持っている仕事は減らない
- 誰も全体の仕事量を確認しない
- 問題が起きたときだけ担当者の責任になる
という状態になりやすくなります。
仕事を任せること自体が問題なのではありません。
任せる仕事と、その人がすでに抱えている仕事をセットで考えることが重要です。
仕事が集中したら優先順位を確認する
では、仕事が一人に集中し始めたとき、どうすればよいのでしょうか。
私は、単純に「できません」と断るよりも、まず優先順位を確認することが大切だと思います。
例えば、
「この仕事を先にすると、現在進めている仕事が遅れます。どちらを優先しますか」
と確認します。
こうすると、仕事を受けるか断るかという個人同士の問題ではなく、会社としてどちらを優先するかという判断になります。
また、口頭だけで次々に仕事を受けると、自分自身でも全体量が分からなくなることがあります。
簡単な一覧表でもよいので、
- 仕事の内容
- 依頼された日
- 納期
- 依頼者
- 優先順位
- 現在の状況
などを記録しておけば、どれだけ仕事を抱えているのかを説明しやすくなります。
できる人に仕事を集めすぎるのは会社にとっても危険

仕事ができる人や断らない人に業務が集中すると、短期的には仕事が早く進むかもしれません。
しかし、その状態を続けると、その人が休んだだけで仕事が止まる可能性があります。
また、本人が疲弊して退職すれば、それまで任せていた仕事を急に他の人へ引き継がなければなりません。
これは本人だけの問題ではなく、会社にとってもリスクです。
誰がどの仕事を担当しているのか。
特定の人だけに業務が集中していないか。
他の人でも対応できる仕事はないか。
こうしたことを定期的に確認する必要があります。
頼られること自体は悪いことではない
私は、頼られることそのものが悪いとは思っていません。
自分の経験や能力を必要としてもらえることは、仕事をするうえで大切なことです。
ただし、「頼られているから」と何でも引き受け続けると、知らないうちに負担が偏ることがあります。
私自身も、もう少し早い段階で仕事量や優先順位について話をしておけばよかったと思っています。
頼る側にも、頼られる側にも調整が必要です。
そして最も重要なのは、個人同士の関係だけに任せず、会社が仕事の分担を把握することです。
まとめ
仕事を任されることと、仕事を丸投げされることは違います。
一つひとつの仕事だけを見れば大きな問題がなくても、それが特定の人に積み重なると、本来の仕事ができなくなります。
仕事が集中していると感じたら、
- 今どれだけ仕事を抱えているかを整理する
- 新しい仕事を受けた場合に何が遅れるかを伝える
- 優先順位を上司に確認する
- 特定の人しかできない仕事を減らす
といった対応が必要です。
「頼られているから頑張ろう」と思うことは悪いことではありません。
しかし、無制限に仕事を抱える必要はありません。
本当に必要なのは、誰か一人が無理をして支える職場ではなく、仕事の量と役割を見えるようにして、必要に応じて分担できる職場だと思います。
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